終活活動の一つで、自分の思い出や家族へのメッセージで、
また、意思表示や財産項目などの重要な情報を記録することです。
さらに、大切なことは、その内容や情報をご家族などに預け、
万が一の時にどのような行動を取ればよいかという指針になる情報です。
エンディングノートには決まった書式や用紙は無く、一般的なノートを利用しても結構ですし、
書店などで販売されているノートを購買頂いて記載することもできます。
また、エンディングノートには法的効力はないので、
ご自身のお好きなタイミングで記載、追記、訂正を行って頂くことが可能です。
これらの決定的な違いが法的効力の有無です。
遺言書は法的効力があります。しかし、エンディングノートにはありません。
遺言書の内容はご自分の死後、法的な効力で実行されることになりますが、
エンディングノートに書いた内容は実行されることは保証されません。
また、エンディングノートの場合は書き方・書く内容が自由で、
個人の思い出や家族・友人への思い出などを手書きでもパソコンでも記載できます。
遺言書の場合は法律で決められた項目以外を記載しても法的効力は持ちません。
**開封の仕方に注意**
エンディングノートは個人の自由で作成して頂くので、
いつ、どのように内容を変更したりノートの内容を見返しても問題はありません。
反対に遺言書の場合は開封を行う前に家庭裁判所で検認という作業を行わなければいけないという決まりがあります。
(公正証書遺言の場合、遺族だけで開封することが可能です。)
エンディングノートは終活という大きなテーマの中で、
自分自身や家族への思いや考えなどを見つめ直し、整理した上で、
これからの人生をどう過ごすか?残される家族への意思表示を行うというご自身の大切な意思表示だと考えています。
エンディングノートや終活は当然のことながらご本人の方の意思が重要ですが、
残される家族の方への配慮も非常に重要です。
「自分だけ」で考えてしまうとどこかで齟齬が出てきてしまい、
しっかりと考えられたエンディングノートが完成しない可能性もあります。
ご自身の経済状況を把握することが、安心で豊かな人生設計だということは、
終活活動を行っていても同じです。自分の資産、収入と支出を理解した上で、どんな暮らしをしたいか、
どんな対策が必要かを早めに理解することはとても大切なことです。
万が一の状態になったときに、ご自身の身体のことを、家族が理解出来ないと、
どういった行動が正しいのかわからなくなってしまいます。
具体的には、延命措置や臓器提供、また葬儀形式やお墓のスタイルまで、
家族に伝えないと困らせてしまう項目だけでも多々あります。
また、「お金と終活」でも記載したご自身の財産について、相続のタイミングで家族の方が初めから調べるのは大変な労力が必要になります。
ご自身の財産項目についてはしっかりと記載して頂くことをお勧めします。
エンディングノートは終活において重要な意思表示であり、家族に託すべき大切な情報です。
しかしながら、実際にエンディングノートをしっかりと記載できている方は、
思ったより少ないのかもしれません。
私たちが実際に調べてみたところ、
販売されているエンディングノートでページ数が60-70ページで、
記載項目の内容や順番がそれぞれに特徴があり、
自分に合ったエンディングノートを選ぶこと自体がとても難しいのではないか?
と感じました。
それに加え、エンディングノートの定義では、
「一般的に販売されているノートや手帳に、思い思いに記載してもよい。」
となっているので、エンディングノートの手作りの方法や、
地方自治体が無料でデータで配布しているものなどを含めると、
非常に多くの種類の中から選ばないといけないという状況になっています。
実際にこのようなアンケートも紹介されています。
【終活「エンディングノート」に関する調査】
9割は必要性を認識していながらも、実際に「書いている」は1割未満
参照 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000074510.html
私達が調べてみたところ、エンディングノートによくある記載事項はこのような項目が多かったです。
例としては、
氏名
本籍地
生年月日
運転免許証番号
健康保険証番号
マイナンバー
血液型
学歴
職歴
資格
自分史
人生のターニングポイント
性格
信念
万が一の時のために記載しておくべき自分の身体について
延命治療
臓器提供
万が一の時に連絡してほしい友人の氏名・メッセージ
預金
借入の有無
不動産の情報
有価証券
美術品
金庫の情報やその内容
SNSや暗号通貨などデジタル資産
通帳、印鑑の場所
健康保険証、保険の証書、年金証書の場所
葬儀の形式
お墓の要望
家族・親族へのメッセージ(形見があれば渡しておくなど)
家系図
簡単に記載してみただけでも、これだけの項目が挙げられます。
また財産や葬儀、お墓に関する項目については、
かなり詳細な記載項目が必要になります。
さらに、ご家族や友人へのメッセージの他に思い出の写真を貼るタイプのものもあり、
作成する時間があるかたやのそれ自体を楽しめる方には向いていますが、
私たちの観点でも、エンディングノートを完成させるのはかなり労力が必要であり、
「実際に記載しているのは1割未満」というニュースには納得がいきます。
弁護士という立場上、ご本人様の意思を尊重し、
法律として残される家族の方が困らない、
また争わないようにすることもエンディングノートの大事な部分だと考えています。
ささいなことで家族間でトラブルが発生してしまい、
相続から争族に代わっていく事例を多々みてきました。
特にご本人にとっても、ご家族にとっても万が一の時には、時間や周囲は躊躇なく、意思決定を促してきます。
そうした観点で作製させて頂いたのが、
様々な思い出や感謝のメッセージは、私たちのエンディングノートとは異なる別の方法で残して頂けます。
その代わりに弁護士という観点でエンディングノートで出来る限り円満でトラブルが少なくて済む項目に絞らせて頂いています。
お葬式やお墓、またお墓でトラブルがあったコラムと一緒に記載しています。